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壁ごしのプロポーズ?

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銭湯の湯船で、ぼんやり湯気を眺めていると、壁の向こうから女性の声がした。 「……もう、覚悟はできてるから」 湯けむりより胸が熱くなる。 覚悟?何の? 「これからの人生、一緒に……」 昨日スーパーでリンゴを拾ってくれたあの人、声が似てる……まさか俺に? 鼓動が早まる。俺は湯船から少し立ち上がり、耳を澄ました。 「お父さんの介護、私がするから」 (ズコッ……湯船に沈む) 勝手に恋の予感を作って、勝手に砕け散った俺…… 風呂上がり、脱衣所の自販機でコーヒー牛乳を買い、一気に飲み干す。 「フッ、これだけは裏切らないな」 甘さとほろ苦さが、湯気より深くしみた。 帰り際、番台のおばちゃんが心配そうに。 「あんた、しょっちゅう湯船に沈んでるけど、大丈夫かい?」

恋の予感はノンアルコール

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今日、いつものようにキンキンに冷えたビールでも…とコンビニに入ったら、新発売のノンアルコールが目に留まった。たまには気分転換も悪くない。そう思って、それを手にレジに並んだんだ。 ​対応してくれたのは、いつもは無愛想なのに、今日に限って満面の笑みの女性店員さん。 (ん?僕に気があるのか…?)なんて勘違いをした。 ​会計を済ませようとしたら、液晶画面に「成人確認」のボタンが出ていない。 ​「…ん?成人確認のボタンが出てないんですけど?」 ​問いかけに、店員さんは満面の笑みを崩さず、まるで僕のうっかりを予期していたかのように、優しく一言。 ​「ノンアルコールですから♡」 ​…くぅー、見事に一本取られたな。あの笑顔は、僕がノンアルに浮気したことへの、可愛らしい仕返しってことか。そう心の中でつぶやきながら、レジを後にした。 ​すると、後ろに並んでいたビジネスマンが背後を通り過ぎる。 ​(…いや、あの笑顔はただの接客だろう) ​と、心の中でツッコミを入れているような顔をしていた。 ……​早く帰って、ビール飲もう。